室長日和 2010.5.20号/奏玲通信

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室長日和 2010.5.20号

鍼麻酔のつづき

1ケ月ほどご無沙汰してしまいました(反省)。

実は、北米東洋医学誌(North American Journal of Oriental Medicine)という学術誌から原稿の依頼があって、格闘しておりました。なんとか、締め切りに間に合ってやれやれ…というところです。

「鍼麻酔」のお話でしたね。鍼麻酔の歴史はそれほど古くはなくて、1958年に中国において鍼麻酔による手術が初めて成功しました。1972年にニクソン大統領が中華人民共和国を訪問し、米中国交が正常化した頃に、アメリカのマスコミが「中国の神秘」として鍼麻酔をセンセーショナルに報道しました。そこから世界的な鍼ブームが沸き起こったのです。

また、その頃から欧米において鍼に関する科学的な研究が行われるようになり、鍼麻酔をすると脳内に「エンドルフィン」という物質が生じて、痛みの感覚が麻痺するということが明らかになってきました。エンドルフィンとは「エンド」(内から生じる)と、「モルフィン」(日本語では脳内モルヒネ様物質と呼ばれていて、脳内で生産されるモルヒネのような物質ということです)をつなげた合成語です。

話は変わりますが、『ランナーズハイ』という言葉を聞いたことがあると思います。マラソンランナーが、苦しみを乗り越えて走り続けていると、気分が高揚してきて苦痛を感じなくなり、快感を覚えてくるという現象です。数キロ走るジョギングとは異なり、限界に挑戦するマラソンというのは、身体にとってかなりのストレスです。そのようなストレスにさいなまれたとき、身体は麻薬のような働きを脳に作用させてストレスを回避しようとするのです。つまりマラソン(大きなストレス)によって脳内にエンドルフィンが生産されるのです。

話を鍼麻酔にもどします。鍼を刺して身体に電気を流すことによりエンドルフィンが出てきて、痛みを感じなくなるという状態は、身体が強いストレスを受けていることを意味しています。中国の鍼治療の方法は、鍼麻酔に限らず、太くて長い鍼を用いて、強めの刺激をかけることが多いようです。日本の伝統的な鍼治療法に比べると、中国の鍼治療はかなり強い刺激です。

そのような中国の鍼治療が、米中国交正常化以降、アメリカのみならず、日本でも広く行われるようになりました。日本においても、鍼麻酔を応用して『低周波鍼通電療法』という治療体系が作られて、腰痛や関節痛などの症状に広く用いられるようになりました。

ところで、1970年代にセンセーショナルに紹介された鍼麻酔ですが、それを外科手術に用いることは現在は中国でもほとんど行われていないそうです。なぜかというと、鍼麻酔がよく利く人がいる一方で、あまり利かない人もいて効果にばらつきがあったり、十分に筋肉が弛緩しないので手術がやりにくいなどの欠点があり、麻酔薬を使うことのほうが一般的なようです。

私は20年以上前にはり師免許を取得して以来、いろいろな方法を試みてきた中で、低周波鍼通電療法も行っていた時期があります。しかし、現在ではその方法を一切行っていません。

なぜならば…、ということを次回以降に書いていきたいと思います。

次回はあまり間が空かないようにしますので、読んでくださいね。ここからが大切

 

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