脈診   脈を良くするということ (室長日和 2010.10.4号)/奏玲通信

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脈診   脈を良くするということ (室長日和 2010.10.4号)

秋の花1 9月の中ごろまでは「もう秋は来ないのでは…」と思うほどでしたが、どこからともなく金木犀の香りが漂ってきてホッとしています。少し間があいてしまいましたが、久しぶりの『室長日和』。またお付き合いください。

 私は鍼をする前に患者さんの手首の脈を診ます。一つ鍼をしたら、また脈を診ます。そしてまた鍼をして、また脈を診ます。これは脈診(みゃくしん)というもので、東洋医学独特の診察法です。

 病院でもお医者さんや看護師さんが脈を診ますが、その場合は患者さんの片手の脈をとって時計を見て、1分間に何回拍動したかを記録しています。

 私が行う脈診というのは、脈が速いか遅いかだけではなくて、血管の堅さ・柔らかさ、太さ・細さ、引き締まっているか・たるんでいるか、拍動の強さ・弱さ、皮膚の表面に浮き上がっているか・沈み込んでいるかなど、いろいろな側面から観察しています。

 このような脈の変化により、全身の気の流れの状態を把握します。例えば、脈が堅いのは全身の気の流れが滞りがちなこと、脈が弱々しいのは気が不足していること、脈がたるんでいるのは気が体の外にもれ出ていることなど、手首の脈で全身の気の状態がわかります。

 また、全身を網羅する12本の経絡(気の通り道)のうち、気が不足している経絡はどれか、気が停滞している経絡はどれかなどを脈診で診断します。その診断結果から、どこの経絡のどの経穴(いわゆるツボ)に、どんな種類の鍼で、どの程度の深さまで刺すかを導き出します。

 どこの経穴の鍼をするかが決まったら、指先でその経穴をそっと触れてみます。経穴は経絡に沿って点在し、皮膚の表面にあるので、体内と体外との気の出入り口になっています。経穴に治療者の指先が触れると、それは直ちに脈の変化として現れます。すなわち、浮いて力なく広がったような脈だったものが引き締まってきたり、堅くて速い脈だったものが、柔軟で落ち着いた脈になるなど、気が滞りなく流れる方向へ変化していきます。

 経穴に触れたときに脈が変化するのは、経穴を経由して治療者から患者さんへ、あるいは患者さんから治療者へと気が通い合うためです。例えて言うなら、半透膜を隔てた濃度の異なる塩水が濃度の高い方から低い方へ塩分が浸透していくように、気が不足している経穴に治療者の手を通して気が流れ込み、また不必要な気が治療者の手を通して体外へ放散していきます。これにより、経絡を流れる気の過不足が調整されるのです。

 治療者の手が経穴に触れるだけでも患者さんと治療者との間で気が流れて脈が良くなるのですから、それだけでもある程度の治療効果が得られることになります。でも、鍼を用いたほうがより効果は高まります…。

続きは近いうちに!お楽しみに!!(秋になって更新スタッフもやる気満々?ですから…)

 

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